【and people 】andクリエイターを大解剖! case:横田恭一
食ライフのプロにインタビューこのシリーズはand.で活躍する食のクリエイターたちの“いま”を探るべく、普段の飾らない素顔や仕事内容をのぞいてみました。プロだからこそ知るテクニックや裏事情は、目からウロコ!知って得する情報も盛りだくさんでご紹介していく連載です。
今回、担当してくれたのは料理人の横田恭一さん。
撮影はhueのフォトグラファー石川寛(いしかわ ひろし)でお届けいたします。
肩書:料理人
フレンチと寿司、天ぷらと幅広く手掛けられている横田恭一さんは、“料理人”という肩書をお持ちのザ・職人です!
全く違うジャンルの食の世界に飛び込んだ経緯や現在の活動内容を伺ってきました。
フレンチから始まる食への道
Food Concierge…現在は、どのような活動をされているのですか?
横田さん…とある料理教室の講師を中心に、友人のお店をてつだったりもいろいろしています。
Food Concierge…某料理教室のお名前は伺ったことがあります。そちらの教室ということは、ダイエットとか? マッチョになるためのレシピとかでしょうか??
横田さん…いいえ(笑)。本格的に料理を習いたい人のためのマンツーマンの教室です。
Food Concierge…そうなのですね。そこでは、どのような料理を教えているのですか?
横田さん…家庭料理が全般ですが、中にはお店のシェフやこれから飲食店を開かれる予定の方がいらっしゃいます。元々、私がフレンチのシェフや寿司、天ぷらの職人だった経験があるのでその知識を生かした調理テーマを中心に教えています。
Food Concierge…幅広いですね。フレンチから、寿司? 天ぷらですか?? フレンチは、どこで修行をされたのでしょうか?
横田さん…ホテルやレストランで経験を積みました。当時は、「エル・ブジ」や「ノーマ」の料理とは違い、ヌーベルキュイジーヌの出はじめの頃。あのようなアートな店ではなく、クラシカルなフランス料理店で学んできました。
Food Concierge…クラシカルなフレンチというと、フォン・ド・ヴォーなど出汁を何日も前からとるような世界ですよね。
横田さん…そうです。牛骨と牛筋肉から時間をかけてドミグラス(デミグラス)ソースを作るような世界です。そこに、約8年いました。
フレンチは“足し算”、和食は“引き算”
Food Concierge…フレンチの世界と、天ぷらや寿司は、調理の方法などが全く違うように思うのですが…。横田さんの頭の中では、どのように差別化させているのでしょうか?
横田さん…全く別物と考えています。
Food Concierge…別物ですか?もう少しわかりやすく教えていただいてもいいですか?
横田さん…私の中では、
フレンチは、素材を組み合わせておいしくさせるいわば、“足し算の料理”。
天ぷらや寿司などの和食は、無駄なものをいかに省くことができるかが勝負の“引き算の料理”
と捉えています。
Food Concierge…足し算と、引き算。確かにそうですよね。それぞれの道へはどのように行き着いたのですか?
横田さん…以前、農家をモチーフにした野菜メインの飲食店を手伝ったことがありました。そこは、白木の天ぷらカウンターがあり、初代料理長から天ぷらについて1から教えていただきました。
天ぷらの揚げ方ひとつでこんなにも素材の味を引き出すことができるのかと。シンプルに面白いと思いました。そこから天ぷらに興味を持ち天ぷらの世界に入りました。
Food Concierge…家庭でもできる天ぷらのコツはありますか?
横田さん…材料の配分と温度とタイミングでしょうか。その見極めができれば誰でも簡単に揚げることができます。私の料理教室の生徒さんでも、コツを教えてからは一度も失敗がありません。
Food Concierge…その極意を今度聞きたいです!!
道具に導かれて寿司を握る!?
Food Concierge…寿司職人になられたきっかけも、何かあるのでしょうか?
横田さん…シャリ鉢に一目ぼれしたのです(笑)
Food Concierge…シャリ鉢ですか?
横田さん…当時の僕には結構な金額のシャリ鉢でした。1か月の間、悩んだのですが「これを買うならもう寿司を握るしかない!」と、心に決めて買ったわけです。写真は2代目のシャリ鉢です。初代のは、使い込んで使いこんで…。変色をしたり、変形してしまったので新しい物になりました。
Food Concierge…以前、寿司職人の方にお寿司の握り方を教えていただいたことがあるのですが、シャリって思っている以上に小ぶりで驚きました。
横田さん…見た目には分からないのですが、本当に小ぶりですよね。私の場合は、1個9.5~10.5gと決めています。手の感触だけで、だいたいこれくらいかな?と、思って計るとぴったりです。
Food Concierge…おお!!!まさに、職人芸ですね! その域に達するのにどのくらいかかりましたか?
横田さん…始めたころはバカみたいに1日中握っていました(笑)。お金がなかったのでシャリだけを握っては戻し、握っては戻しで…。同じ大きさや量、食感になるまでひたすら練習をしましたね。
Food Concierge…料理人として、また料理教室の先生としてご活躍されている横田さんですが、今後、やっていきたいことなどはありますか?
横田さん…今までに自分で商品開発をしてきたものを販売しながら、それをステップに商品企画や開発なども手掛けていきたいですし、自分の店を持つことが夢です。
Food Concierge…ご自身のお店ですか。いいですね。どんなお店ですか?
横田さん…米と大豆を使ったお店で、開店は週2回。今までお世話になった方々へ恩返しができるような活動をしていきたいです。料理撮影もその一環です。今後は、撮影現場でも活動できたらと、思っています。
Food Concierge…素敵な夢ですね。開店された際には、ぜひお伺いしたいです! 今後、撮影の現場はいかがですか?
横田さん…以前のお店時代なのですが、テレビ番組で(料理バトルや値段当てクイズなど)調理補助や調理を務めたこともあります。ヒューさんともお仕事をいくつかさせていただいていますが、とてもやりがいがあります。
Food Concierge…ありがとうございます。手タレから、顔出しまで。マルチにご対応いただけて助かっております。
以前、お寿司を握っていただいて下駄に置く動作をいろんなネタでやっていただきましたが、シャリの大きさがほんと一緒で撮影現場ではとっても助かりました!!
本当に、横田さんの活動は幅が広いですね。今後のご活躍も気になります!
横田さん…何より、食は人の健康維持にあると捉え食材に限らず、生き物、物全てに思いやりを持って接する事を「是」とし、出来得る限り、野菜は無肥料、無農薬、魚は天然物を使い、色々な方々にお勧めしつつ、料理に携わらせていただき、活かされる毎日です。今まで経験させていただけた、和と洋の双方の利点、面白味を融合出来ること、研究好きが特徴。自然との繋がりを日々大切にしつつ、只今、全力で前進中です。
Food Concierge…食に対する真摯な姿勢に胸が熱くなりますね!
ちなみに横田さんのコックコートの左肩にある字ですが
trés important =very important=僕にとってとても大切な事
la terre =大地
I’eau=水
l’air=空気
だそうです。ここらからも横田さんのマインドが伺えます。
ご協力いただいた食のクリエイター

日本大学付属豊山高等学校を卒業後、武蔵野調理師専門学校を経て、
ロイヤルパークホテルに開業と共に就職し、フレンチを19年、天ぷら、寿司を亜流ながら7年ほど経験。浅草の「左甚五郎」と言われた指物師の祖父と祖父の弟子でもある店舗設計士の父の職人気質の中で育てられる。。

出版社勤務後、フリーランスへ。食の取材を中心とした本の企画・構成をはじめ、レシピ作成やスタイリングを含めたトータルコーディネートなどを手掛けている。“食べるものによって、人の体も心も育まれる”という考えをモットーに、食べ物の裏側にある環境や農業、栄養学にも関心が高い。
著書に、日本の食文化をまとめた『おにぎり』、『まるベジ・ドリンク』共にグラフィック社刊などがある。
現在、フードスタイリスト、料理カメラマンとの女性3人のフードユニット「Soup Caravan」を結成中。
横田さんへのお仕事の依頼はこちらまで(→hue_and@hue-hue.com)
依頼可能内容:動画、和食料理・フレンチ 撮影補助 などなど